本格梅酢漬けって何がすごいのか?

こんにちは、

ゆにわ梅部・部長のセイラです。

 

前回のコラムでは

梅干しと調味梅の違いについて

お話ししました。

 

梅干しは

梅本来の魅力を活かす作り方

という話をさせてもらったと思います。

 

僕たち『ゆにわ梅部』は

この「梅の果実」の魅力を

どこまで引き出せるのか?ということに

チャレンジしており

 

そこで、取り入れているのが

〝本格梅酢漬け〟

という製法だ、と話していたと思います。

 

今回は、その

『本格梅酢漬け』について

お伝えさせてください。

 

まず、普通はどのように

梅干しを漬け込むのか?

というところから

簡単にお話ししたいと思います。

 

昔ながらの

一般的な梅と塩で漬け込む

梅干しの作り方はシンプルで

梅の実に約20%の塩を投入し

圧をかけて、実の中から果汁を出し(それが梅酢)

その果汁の中で約2ヶ月間漬け込んでいきます。

 

塩分が高く

カビも腐敗もないため

夏になると高温多湿になる日本という国で

保存食として広まったわけですね。

 

ただ、塩で漬けて

梅の果実から果汁を外に出してしまうので

梅の実自体は

水分が抜けてしまいます。

 

僕たちに、梅干し作りを教えてくださった

前田さんは、

この状態を「ミイラになってしまう」

表現されました。

 

梅という果実の

「フルーツ」のような魅力が

漬け込む過程で損なわれてしまう・・・

 

あんなに美味しい〝梅酢〟

外に出してしまうなんて

もったいない・・

 

どうすれば、

しっかり、梅酢を閉じ込めたまま

美味しい梅干しにすることができるんだろう?

 

そう考えた先で生まれたのが

〝梅酢漬け〟

という製法なのです。

 

梅酢漬けとは

本来、梅と塩で漬け込むところを

梅と〝梅酢〟で漬け込む製法のこと。

 

つまり、

漬け込む瞬間から
周りにたっぷりの梅酢がある状態を作る

ってことです。

 

そうすることで、

塩の力で、梅の果汁を外に出してしまうのではなく

梅酢に元々含まれている塩をしっかり

梅の実に移動しつつ

果汁も損なわずに漬け込むことができるんですね。

 

すると

梅の中に元々ある

果汁の「フルーツ感」がそのまま残り

それが塩分と合わさることで

酸っぱさと、しょっぱさと、ほんのり甘い

絶妙な味わいに仕上がります。

 

塩だけで漬け込んだ梅干しは

どうしても、酸味が少ない

しょっぱい梅干しになりがちなのですが

 

梅酢漬けだと

梅酢がもともと酸味を持っている状態なので

「しょっぱさ」に偏らず
「酸っぱさ」とのバランスが良くなって

それらが互いを生かし合う

まさに〝ハーモニー〟を作り出すのです。

 

これが、

〝梅酢漬け〟の最大の特徴

だと思います。

 

しかし、この製法。

理論的には

「絶対に美味しいじゃん!」

ってことがわかっても

実際に取り入れるとなると

色んな壁が立ちはだかります。

 

まず、塩ではなく梅酢で漬け込む製法の

良い部分を引き出そうと思うと

漬け込める量が一気に少なくなるのです。

 

簡単に言えば

普通なら4t以上の梅干しを漬けられるところ

半分の2tほどしか漬けられなくなってしまうんですね。

(梅酢の割合の方が梅よりも多くなるのです)

 

なので、シンプルに

漬け込んで完成させるまでの効率が
非常に悪くなります。

 

他にも

漬け込んでいる間

塩と酸が分離しないように

循環器を使って、常に梅酢を循環させ

 

こまめに酸度と塩度を測定しては

一番バランスのいい比率に

調整を繰り返していく必要があります。

 

ここまで徹底することで

梅酢で漬ける製法が

味にしっかり反映され、劇的に美味しくなる。

 

僕たちは

最高級の、一番梅の魅力が生かされた

エネルギーの高い梅干しを作りたいという想いから

 

「現実的に難しいよね」

「そっちの方が理想的ではあるけど・・」

 

といった事情や言い訳を挟まずに

 

「一番いい形でやろう!」
「一番エネルギーの高いものを作ろう」

 

そう奮起して

『寿の梅干し』を作りました。

 

そのみち50年、

いろんな梅会社で商品を作り

世界中で梅を研究し、広めてきた

前田さんが、

 

「この梅干しが、わたしが考える一番理想系の梅干しです。」

 

と言ってくださるほど、

こだわりと手間を詰め込んだ

〝本格梅酢漬け〟の最高級梅干し『寿』

 

昔ながらの梅干しの良さと

歴史から学び、

さらに梅の良さを引き出す形として生み出された

〝本格梅酢漬け〟を採用した『寿』の味わいを、

ぜひ楽しんでくださいませ。

 

では、またのコラムでお会いしましょう。

ありがとうございました。